順天堂医学
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原著
スポーツ選手の口腔健康度と咬合力について
篠原 光代生木 俊輔松本 光彦中島 一郎越川 憲明
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2005 年 51 巻 3 号 p. 368-373

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抄録
目的: 近年, 顎口腔系と全身の運動機能に関して様々な方面からの研究がなされてきている. 今回, 運動経験の豊富なスポーツ選手の口腔健康度と顎口腔系の筋力の関係を知る目的で, 口腔健康度と咬合力の診査計測を行った. 対象: 本学スポーツ健康科学部のスポーツ選手20名, 対照としてスポーツ部に属さない医学部学生8名に対して診査計測を行った. 方法: 口腔内状況を診査し, 口腔健康度を表す指標の一つであるDMF歯数 (未処置歯, 喪失歯, 処置歯の合計) を算出し, 非運動時の最大咬合力を測定した. スポーツ選手群と対照群で口腔健康度 (DMF歯数) と咬合力に有意差が認められるか否か, また各群の口腔健康度 (DMF歯数) と咬合力との相関について解析した. 結果: 1. 対照群とスポーツ選手群のDMF歯数の平均は7.3と8.2, 咬合力の平均はそれぞれ728.8Nと789.8Nであった. 2. DMF歯数と咬合力は共に, スポーツ選手群と対照群との間に有意差は認められなかった. 3. DMF歯数と咬合力との間には, 対照群では有意な負の相関が認められたが, スポーツ選手群では認められなかった. 結論: DMF歯数が高い (口腔健康度が低下する) ほど顎口腔系の筋力が低下する傾向が認められた. 一方, スポーツ選手群ではDMF歯数と咬合力との間に有意な相関は認められなかった. このことから, スポーツ選手は全身の運動を行うことによって, 顎口腔系の筋力の低下を防いでいることが示唆された.
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© 2005 順天堂医学会
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