順天堂医学
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原著
1, 2-dimethylhydrazine (DMH) 誘発ラット大腸癌に対する高脂肪食の影響
-便中胆汁酸組成との対比-
佐々木 森雄塚田 健次河井 健松田 光弘渡部 智雄冨木 裕一坂本 一博鎌野 俊紀
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2006 年 52 巻 2 号 p. 213-218

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抄録
目的: 1, 2-dimethylhydrazine (DMH) 誘発ラット大腸癌モデルに対し高脂肪食を投与することで大腸癌の発生と, 増殖にどのような影響を及ぼすかを実験的に検討した. また, 高脂肪食投与と便中胆汁酸組成比deoxycolic acid/colic acid (DCA/CA) との関係についても検討した. 対象: 使用した動物は7週齢の雌性Wistar系ラット48匹である. 方法: コントロール群, 高脂肪食投与群, 普通食+DMH投与群, 高脂肪食+DMH投与群の4群に分けた. 発癌剤DMHは40mg/kg週1回, 計10回皮下投与, 実験投与開始後35週で犠牲死剖検した. 結果: DMH誘発ラット大腸癌は, 発生率, 発生個数に差は認められなかったが, 高脂肪食投与群で進行癌が, 組織型では未分化癌が多い傾向が認められた. 便中胆汁酸組成比は高脂肪食投与群で高値を示した. 結論: DMH誘発ラット大腸癌において, 高脂肪食の投与を行った場合, 便中胆汁酸組成比が高くなる傾向があり, 大腸癌の発育に大きく関与していることが示唆された.
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© 2006 順天堂医学会
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