抄録
目的: 脳血管障害患者の高次脳機能障害の予後予測に対するリハビリテーション前の脳血流シンチグラフィの有用性につき検討する.
対象: 1997年6月-2001年1月までの4年間に脳血管障害で入院し, 回復期リハビリテーションを施行された204症例を対象とした. 全例が脳血管障害の初発例で, 開頭手術歴や他施設でのリハビリテーション歴の無い症例である.
方法: 入院時と退院時にFunctional Independence Measure (FIM) スコアを算出し, そのうちの認知5項目を高次脳機能の指標として使用した. また, リハビリテーション前に99mTc-ECD脳血流シンチグラフィを施行し, 局所脳血流量とリハビリテーション前後の高次脳機能との関係を統計学的に評価した.
結果: 障害側の前頭葉, 側頭葉, 頭頂葉の局所脳血流量は高次脳機能と相関があり, 特にリハビリテーション後での相関が高かった.
結論: リハビリテーション前の脳血流シンチグラフィによる脳血流量測定は, リハビリテーション後の高次脳機能の予後予測に有用であった.