順天堂医学
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原著
IgA腎症自然発症モデルマウスにおけるB細胞活性化に関わる樹状細胞の役割
木原 正夫鈴木 祐介相澤 昌史鈴木 仁堀越 哲富野 康日己
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キーワード: IgA腎症, 樹状細胞, IgA, B細胞
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2007 年 53 巻 4 号 p. 631-638

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抄録
目的: IgA腎症は原発性糸球体腎炎の大半を占め, 20年の経過で約40%は末期腎不全に至る予後不良の疾患であるが, 病因はいまだ不明である. 上気道感染後に腎炎が増悪することやワクチンを用いた臨床研究の結果などから, 粘膜免疫の異常が示唆されている. 最近われわれは, IgA腎症自然発症モデル“Groupe dddY mice”を確立した. このモデルの疾患感受性遺伝子は, ヒト家族性IgA腎症の感受性遺伝子と相同性を示したことから, 病因解明に有用なモデルであるといえる. 今回われわれは, 粘膜免疫反応において重要な役割を果たす樹状細胞dendritic cell (DC) に着目し, 腎炎発症ddYマウスを用いて, IgA腎症におけるDCのB細胞に及ぼす役割を検討した. 対象と方法: 腎炎発症ddYマウス, 腎炎未発症ddYマウスの脾臓からDCを, 正常BALB/cマウスの脾臓からB細胞を抽出した. DCとB細胞とを共培養し, 得られた上清のIgAをELISAにて測定した. また, それぞれのマウスから得られたDCよりRNAを抽出し, IgA産生に関わるサイトカインの発現をreal-time PCRを用いて解析した. 結果: DCとB細胞の共培養の結果, 腎炎発症ddYマウスDCが腎炎未発症ddYマウスDCと比較して, より強力にB細胞からのIgA産生を誘導した (p<0.01). 腎炎発症ddYマウスDCでは, APRIL (a proliferation-inducing ligand), IL-6のmRNA発現が有意に増加していることが判明した. 結語: マウスIgA腎症のDCはAPRIL, IL-6を産生することにより, B細胞からIgA産生性の形質細胞への分化をT細胞非依存的に誘導し, その結果液性免疫を介してIgA腎症の進展もしくは発症に関与している可能性が示めされた.
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© 2007 順天堂医学会
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