順天堂医学
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特集 教授定年退職記念講演
順天堂免疫での四半世紀
--リンパ球機能分子と免疫調節--
奥村 康
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2008 年 54 巻 2 号 p. 110-115

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抄録
順天堂大学・免疫学教室でこの四半世紀行ってきた基礎免疫学の研究成果を要約する手段として, 以下の二つのトピックスを紹介する. 古くからT細胞の機能的亜群を分類する手段としてリンパ球表面の機能分子の研究を進めてきた. 特に, 数々の機能分子に対するモノクローナル抗体を作製し, それらの抗体を用いてin vivo, in vitroでの機能分子の働きを調べてきた. 中でもわれわれが同定で成功したB70に対する抗体と米国で同定されたB7に対する抗体を利用することによって臓器移植における永久寛容を導入することが出来, その結果が人の移植に応用されつつある進展を以下に述べる. また, もう一つのトピックスとして, 標的に細胞死を導入する分子群やそれらに対する抗体を駆使して, 今までほとんど不可能であった自然発癌における癌細胞にも, 免疫反応を惹起させることに成功し, in vivoにおいても私達の開発した抗体の投与で治療可能であることを示した. これは免疫増強に関連した抗体の組合せの投与によるもので, カクテル療法とも名付けている.
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© 2008 順天堂医学会
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