放射線の医学応用について, 特に画像診断, IVR分野での応用について, 順天堂医院放射線科, 放射線部での施行検査件数を参考に述べた. 臨床の現場では単純撮影, X線CTは多くの病変の診断や経過観察に用いられ, 欠くことのできない検査となっている. 特にX線CTは簡便で広範囲の画像が短時間で撮影できることから, 状態不良の患者さんや救急時に有用で検査件数が増加している. 肺がんや肝がん, 急性膵炎など種々の疾患の診療ガイドラインでもCTを含む画像検査は必須の検査として記載されている. 放射線被曝のないMRIは, コントラスト分解能が良好で有用な検査であり, 今後の検査数増加が予想されるが, 長時間の検査時間や騒音, 体内金属類チェックなど検査時に注意が必要な要素もいくつかあり, 症例を吟味してCTとMRIの選択をする必要がある. 医療被曝については, ICRPの勧告では被曝線量の上限は設けられていないが, あくまでも得られるメリットがデメリットを上回ることが原則である. 本邦でも過剰な検査を行わないために医療被曝に関するガイドラインが作成されており, その値を参考に日常診療が行われている. 一方で, 個々の場合によりリスクとベネフィットが異なるため, 画一的な判断は避け, 比較的線量の高い被曝を伴う画像検査を施行する場合は, 個々の検査で得られるメリットとデメリットについて検討することが好ましい. IVRは, 近年開発が進んでいる画像診断法を応用した診断・治療法である. 皮膚や内臓を大きく切開することなく低侵襲に診断や治療ができ, その効果も良好なことからますます盛んになっており, 当科でもここ数年, 施行件数が増加している. 適応も生検・ドレナージ, 椎体形成術といった非血管系の手技と, 動脈塞栓術や化学動脈塞栓術, 血管形成術などの血管系の手技に大別され, 両者ともに進歩が著しい. しかし, IVR施行時も特に局所の皮膚の吸収線量の低下に努めて手技を行うよう, 術者やスタッフの配慮が必要である.