抄録
高齢化社会が急速に進む今日、認知症の発症を防ぎ進行を抑制する科学的手法と、これを少ないコストで効果的に実施する社会システムの双方が求められている。そこで、2007年7月に、東京大学と柏市、柏市民、企業の民産官学連携により、認知症予防回復支援サービスを開発し、高齢者を中心とするヒトの認知脳機能を解明する研究拠点「ほのぼの研究所」を開設した。会話支援システムを用いて認知症予防回復を目指す「ふれあい共想法」プログラムを開催し、記憶課題や会話計測、脳活動計測などにより、その有効性を実証している。本稿では、研究拠点の開設と、共想法における記憶課題の解析結果について報告する。