主催: 一般社団法人 人工知能学会
会議名: 2019年度人工知能学会全国大会(第33回)
回次: 33
開催地: 新潟県新潟市 朱鷺メッセ
開催日: 2019/06/04 - 2019/06/07
行動経済学において提唱されている“ナッジ” (nudge) は「ほとんど気づかないくらいにささやかな方法」で人々を健康や幸福へと導く戦略 [Thaler 08] として知られ,Thaler は当該研究の業績により2017年にノーベル経済学賞を受賞した. AIやIoTなどの情報技術の急速な発展により,社会システムのリデザイン (再構築) が求められている現在,本研究では“ナッジ”を「心のナビゲーション」として捉え,それを我々がこれまで約20年間にわたり研究を進めてきた Human-Agent Interaction (HAI) の基盤技術を用いることで“ナッジ”エージェントとして実装することにより,人々を「良い行動」へと導くことが可能な,新しい社会的インタラクションの枠組みを提案する. 具体的には,HAI基盤技術を用いることにより,人の意思決定を方向づける認知的環境 (選択アーキテクチャ) を操作可能な“ナッジ”エージェントを構築し,実際の家庭や商業施設などでのフィールド実験をとおして,このエージェントが人々の意思決定を健康や幸福へと“それとなく”導くことが可能かどうかを検証する.