主催: 一般社団法人 人工知能学会
会議名: 2019年度人工知能学会全国大会(第33回)
回次: 33
開催地: 新潟県新潟市 朱鷺メッセ
開催日: 2019/06/04 - 2019/06/07
てんかんとは,大脳ニューロンの過剰な放電に由来する反復性の発作を特徴とする慢性の脳疾患であるが,発作による怪我や事故を避けるために発作起始を予知できることが望まれる.心電図(ECG)のRR間隔(RRI)の変動は,心拍変動(HRV)と呼ばれる自律神経機能を反映する生理現象であり,かねてより発作周辺期におけるHRV変化が報告されている.そこで本研究では, HRV解析と異常検出技術を組み合わせててんかん発作予測アルゴリズムを開発した.異常検出技術として,ニューラルネットワークの一種である自己符号化器を採用した.焦点性てんかん患者66人から収集した臨床データへ適用したところ,平均的な性能は感度75.3%,誤検出率は約2.49回/hであったが,これは以前の報告よりも性能が悪化している.しかしながら,提案アルゴリズムは大多数の患者において有効であった一方で,特定の少数の患者では発作が予知できていないことがわかった.今後の臨床応用のためには,てんかん発作予知アルゴリズムの適応可能な患者群の同定が求められる.