本研究では,アナリストレポートに自然言語処理とニューラルネットワークを適用しアナリストが実際に予想する純利益の予測を行う.そのために,まずアナリストの純利益予想の予測にはアナリストの意見文が特に有効であるという仮定のもと,意見文と非意見文の判別を行う.意見文判別では様々なリソースから分散表現のモデルを作り,それぞれの組み合わせの有効性を試す.純利益の予測では,分割した意見文や非意見文に加え,アナリストの今までの予想トレンドを入力に追加する.また,アナリストレポートを発行する証券会社ごとに入力し証券会社ごとの書きぶりの違いを考察する.実験の結果,0.8を超えるF1で意見文判別を達成できた.純利益の予測では証券会社によって予測精度が最も高くなる入力が異なった.アナリストが自らの業績予想に至った論拠を意見文を中心に議論するか,キーとなった客観的事実を中心に議論するかといった違いが証券会社ごとに表れた結果と言えるかもしれない.また,トレンドの入力もアナリストレポート同様予測に効果的だった