本研究は，自動運転車や電気自動車の走行シミュレーションのための都市空間環境を，オープンデータとゲームエンジンを用いて，低コストで開発したものである．自動車の制御アルゴリズム開発において，実車を用いた試験は高いコストがかかるため，その試行回数は限られている．また，天候や時間などによる道路条件の変化についても，自由に設定することが難しい．そこで，仮想空間によるシミュレーションを用いた開発が行われている．これらは，コンピュータ内による計算で行われるため，様々な条件変更や試行回数に制限がない．一方，自動運転車や電気自動車では，LIDAR等のセンサを用いて実環境から情報を取得したり，傾斜や路面状況などの道路データから効率を計算したりするなどの制御を行うため，実環境に即した環境での試験が必要となってきている．しかし，仮想環境において実環境を完全に模した環境を構築するには，多額のコストが必要となっている．本研究では，国土地理院のオープンデータと，ゲームエンジンなどの安価な開発環境を組み合わせることにより，シミュレーターに必要な情報を持つ大規模な都市空間モデルを開発したものである．
