本研究では、同時通訳中に訓練を受けた同時通訳者の脳の多言語処理制御ネットワークを分析するために、40Hz-ASSRによって抽出された試行間コヒーレンス(inter-trial coherence : ITC)に関連するEEG信号を使用して、経験豊富な同時通訳者(Sランク:n=15)と初心者の同時通訳者(Cランク:n=7)の日本語から英語への通訳条件のITCと日本語のシャドーイング中のITCを統計的に比較した。その結果、当時通訳中で、Sランクの前頭葉のITCがCランクの通訳者のITCよりも大きな増加を認めた(p < 0.0001)。一方、シャドウーイング条件では両者の間でのITCで有意な差は認められなかった(p=0.8)。