主催: 一般社団法人 人工知能学会
会議名: 第34回全国大会(2020)
回次: 34
開催地: Online
開催日: 2020/06/09 - 2020/06/12
分散型電源システムが普及した社会では,従来需要家であった家庭が発電・蓄電し,必要な時に消費するといった自家発電・自家消費の利用形態が想定される.小規模地域内に多数の需要者と供給者が内在することで,世帯間での電力融通さえ可能になる.このような電力システム下では,様々な電力融通の相互作用により電力需要構造はより一層複雑化し,マクロな予測では複雑化に伴うパラダイムシフトに追従できない可能性が高い. そこで本研究では,都市を構成する意思決定主体として世帯に着目し,世帯を構成する個人は内部変数とするメゾスコピックな世帯エージェントモデルを用いて電力需要予測を行う.世帯数推移モデルと居住地選択モデルにより都市動態を考慮し,各世帯の太陽光発電と蓄電池の利用をモデル化することで地域の電力需要を詳細に予測する.横浜市を対象とした数値実験結果と各種統計データと比較し,提案モデルが都市動態及び電力消費の傾向をよく再現することを確かめた.また,構築したシステムを用いて太陽光発電と蓄電池に関する普及シナリオを検討し,設備導入のインセンティブ設計が都市動態や電力需要構造にどのような影響を与えるか分析を行った.