人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第36回 (2022)
セッションID: 2N4-GS-5-02
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重心移動を用いた仲介役ロボットの介入行動は対人葛藤場面における人々の攻撃的感情を抑制するか?
*野口 洋平上出 寛子田中 文英
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抄録

健全な人間関係を維持するためには, 怒りなどの攻撃的な感情をうまく制御することが肝要である.一方,テキストメッセージングでは,人々の攻撃的な言動が増加しやすいと言われている.本研究では,内部に可動錘を有するハンドヘルド型ロボットを人間同士のメッセージングにおける仲介役として用いる.音声対話(メッセージ受信者の怒りをなだめるなど)に加えて,内部ウエイトの動きによる触力覚提示を行うことで,ロボットの意図伝達性を強め,メッセージ受信者の心理状態に重要な影響を与えられる可能性がある.そこで我々はこの仮説検証のために,94名の実験参加者をそれぞれ欲求不満状態になるようシナリオを用いて統制し,重心移動の有無×3種類の音声対話における6条件の比較実験を行った.結果,重心移動にはユーザーの怒りやその他の攻撃的な感情を鎮める効果があることが分かった(ユーザーの怒りは約22%抑制された).加えて,そうした重心移動の効果はロボットの発話の種類よりも先行して人々の感情に影響を与えていたことも示唆された.

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© 2022 人工知能学会
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