Twitter上におけるミドルメディアの役割と政治的分極化への影響評価

抄録

SNS上の情報を再編集・発信するミドルメディアによる拡散力が高まっており、フェイクニュースの拡散が確認されている。しかし、個々のメディア単位でのSNS上でのミドルメディアの役割やエコーチャンバーへの寄与に対する統計的な議論は少ない。我々はTwitter上で情報拡散力が高いトップ155メディアを、分野を問わず抽出し、3ヶ月間にわたるユーザーの拡散行動を観察した。同一ユーザーの拡散傾向により構築したメディアの関係性ネットワークから得られたクラスタ群（右派、中道・左派、IT・ビジネス系、カルチャー系、スポーツ系）は政治的分極化の存在を示した。伝統的マスメディアは幅広い層に幅広い情報を提供する一方、ミドルメディアは特定層が好む情報を多く提供する傾向にあり、相補的な役割を担っていた。また、右派系には、中規模の情報拡散力を持つ政治的ミドルメディアが多数存在し、固定ユーザー率が高いことから、比較的強力なエコーチャンバーが確認され、その強化にミドルメディアの寄与が考えられた。本研究は、Twitterにおいて情報の価値が拡散力で測られる状況でのミドルメディアの特徴と右派と左派の非対称性を明らかにした。