主催: 一般社団法人 人工知能学会
会議名: 2024年度人工知能学会全国大会(第38回)
回次: 38
開催地: アクトシティ浜松+オンライン
開催日: 2024/05/28 - 2024/05/31
2018年にBert Chanによって提案された人工生命モデルの Lenia は,時間・空間・状態を連続値化し,状態遷移を柔軟に設定可能とすることにより,古典的な2 次元セルラーオートマトンのライフゲームを拡張したものである.様々な生命的振る舞いを示す多数の「生物種」が発見されており,注目を集めている.本研究では,異なる粒度の複数のセル平面によって,実世界の生命に特徴的な階層構造を実現する拡張モデルを提案する.直近の2階層のセル間の対応するセル領域の間には吸引的および反発的な相互作用を設定する.本論文では,2階層のセル平面で構成されるモデルについて,相互作用の種類や強度がパターンの形成や生物の振る舞いに及ぼす影響を計算機実験により検討する.その結果,相互作用の強度がモデルの振る舞い(生存か死滅か)に大きく影響し,ある範囲において細胞と類似する振る舞いを作り出すことが示された.これらの結果はLeniaの持つ可能性,特に生物の階層性の起源や進化に関する重要な知見につながりうるものであると考える.