人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第38回 (2024)
セッションID: 2S6-OS-7a-04
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介護施設における薬剤関連インシデントレポートからインシデント要因を抽出するためのマルチラベル分類器の構築
*木﨑 速人江原 沙也加佐藤 宏樹堀 里子澤田 康文
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抄録

介護施設における入居者の服薬支援においてはインシデント発生の懸念がある.インシデント発生要因の省察は再発防止に重要であり,その記録はインシデントレポートに集約される.本研究では,介護施設で作成される薬剤関連インシデントレポートから,自然言語処理を用いてインシデント発生要因を抽出する分類器を構築した.本邦の介護付き有料老人ホームで作成された薬剤関連インシデントレポートの発生要因に関する記述7121文を対象に,我々の先行研究で明らかにした服薬支援に伴うインシデント発生要因を参考に設定した7種の要因ラベル(不十分な介助/薬の要因/入居者要因/介護者要因/環境要因/チーム要因/組織文化要因)を,複数ラベルを許容して付与した.これらを訓練/テストデータに分け,2種の事前学習済みモデル(BERT,ELECTRA)をファインチューニングしてマルチラベル分類器とした.いずれのモデルにおいても,組織文化要因以外のF1 scoreは0.6を超えており,完全ラベル一致率は0.6を超えていた.本研究で開発したモデルは,介護施設で作成される薬剤関連のインシデントレポートからの要因抽出に有用であることが示唆された.

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© 2024 人工知能学会
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