近年、日本の外国為替証拠金取引(FX)業者の顧客取引高が急増し、為替市場に対し大きな割合を占めるため、その顧客動向の分析は重要である。 従来のファイナンス研究では、株式市場において、企業の利益発表やニュース発表後の出来高変化に焦点を当て、個人投資家と機関投資家の差異が分析されてきた。 一方、為替市場における個人投資家の投資行動はまだ十分に実証されておらず、経済情報発表後の反応を検証することは重要な課題である。 そこで本研究では、FX業者の顧客取引データを用い、個人投資家がFOMC及びベージュブック情報を基に取引を行うかどうかを検証する。 具体的には、FOMC会合及びベージュブック情報を基に取引を行うかどうか(H1)、情報のトーンに基づいた取引を行うかどうか(H2)を検証する。ベージュブックは、米国の景況感を報告する文書であり、FOMC会合前に公開され、金融政策決定や金融市場に重要な影響を与える。 分析の結果、個人投資家においても、FOMC及びベージュブックの公表が取引高に影響を与えることが実証できた。またFOMC前に公表されるベージュブックの特定のトピックに反応した取引を行うことが確認できた。