抄録
数理ファイナンスは当初、デリバティブ〈金融派生商品〉の開発のために用いられていたが、デリバティブの広がりと共に、その考え方が浸透、拡散し、今日ではリスク管理の主要な道具と考えられるようになってきた。そのため過剰な期待を背負うことともなり、多くの難問を抱えることとなった。中でも重要な問題として、理論値をどのように具体的に求めるのかという数値計算の問題がある。講演ではまず、ファイナンスの使われ方の現状を説明し、特に数理計算においてどのような問題があるのかということを説明していく。講演後半では現在東工大の二宮氏らと行ってる新しい数値計算の方法の研究について、概説する。