抄録
熱力学的開放条件下で1次相転移(凝縮状態とランムコイル状態の2状態間の高次構造変化)を示すT4DNA単分子鎖が、自ら時空パターンを作り出す現象(周期的な高次構造変化)について報告する。具体的には、メゾスコピックな1次相転移系の外場応答性と局所的な非平衡条件を競合させることで、時空間パターンが発現すると予測し、次のような実験を行った:cw Nd:YAGレーザー(波長 1064 nm)の光ピンセットを用い、レーザー焦に局所的に熱力学的開放条件を構築して非平衡度(局所加熱による温度勾配)を設けると同時に、そこにDNA凝縮体を捕そくした(予め局所加熱により凝縮状態のDNAが解けるように1次相転移の温度依存性をデザインした)。その結果、周期的な高次構造変化が観測された。理的には熱力学的開放条件下に配置されたメゾスコピックな1次相転移系から発現するリミットサイクル振動として記述される。