日本応用数理学会年会予稿集
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セッションID: S01
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S01 分子動力学の数理
分子動力学シミュレーションにおける結晶構造相転移の促進法
*米谷 佳晃横井 康平
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抄録

自然界では、温度と圧力の条件や作り方が違えば、同じ分子でも様々な結晶構造を形成する。分子動力学(MD)シミュレーションでそのような結晶構造を発生させるアプローチの1つは、結晶-結晶相転移を誘起することであるが、それには1つの困難がある。それは、相転移が構造あるいはエネルギーの大きな変化を伴う場合には、転移前よりも転移後の結晶構造の方が安定であったとしても、現実的に可能なシミュレーション時間内にはなかなか起こらないことである。この問題の解決策として、定圧MD法で用いる可変MDセルの形のゆらぎを増大させ、結晶-結晶相転移を促進することを提案する。これは、分子系とMDセルを別々に温度制御し、結晶の秩序を失わないように分子系の温度を低くしておきながら、MDセルの変形を大きくするようにMDセルの温度を高くしておくことにより可能になる。講演ではその方法のベンゼン結晶への適用例を示す。

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© 2002 日本応用数理学会
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