動物分類学会誌
Online ISSN : 2189-728X
Print ISSN : 0287-0223
日本産Asterina属の1新亜種について
林 良二
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1977 年 13 巻 p. 88-91

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抄録
Asterina属の分類は従来考えられていたより複雑である。A. exigua(LAMARCK)には,生殖孔を腹側に有し,直接光生をする群と,生殖孔を背側に有するものと2つの群があることが指摘されている(MOKTENSEN, 1921)。DARTNALL (1971)はexiguaと一般に呼ばれているヒトデは数種を含み,また,LAMARCKのexiguaのtypeは既にパリに無く,不明であることから,永く使用されてきたexiguaの古い名を保存するために,腹側に生殖孔を有して,直接発生する群をexiguaとして,新しくneotypeを設け,一方,生殖孔が背側に開口し,ビピンナリア幼生を有すると考えられる群を新種pseudoexiguaとすることを提案した。日本近海では本種は和歌山県串本から知られているが,日本産種は生殖孔を背側に有し,pseudoexiguaに近似すると考えられるが,完全な胎生型である点から,これをpseudoxiguaの一亜種として取扱うことを提案する。
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© 1977 日本動物分類学会
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