動物分類学会誌
Online ISSN : 2189-728X
Print ISSN : 0287-0223
西太平洋東カロリン群島およびマーシャル群島産浅海棲二枚貝(北赤道海流域における海産動物相調査報告 : II.1982年6〜8月の調査によるトラック請島,ポナペ島とマジュロ環礁のサンゴ礁動物相の研究)
松隈 明彦
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 27 巻 p. 1-34e

詳細
抄録

1982年6〜8月,文部省の海外学術調査(研究代表者:今島実)による黒潮源流域としてのミクロネシア海域の動物相の調査が行なわれ,筆者はトラック島,ポナペ島およびマジュロ環礁において軟体動物の採集を行なった.今回はそのうちの二枚貝綱について報告した.採集は主として低潮時に珊瑚礁上とその周囲の砂地で行なわれ,標本の多くは潮間帯の種であるが,サンドポンプ,ビレッジ,スキューバ等によって得られた亜潮間帯(5〜42m程度)の種も若子含まれている.全体で112種の二枚貝を識別したが,他の大洋島同様,大陸島に比べて種の多様性はかなり低い.この地域の二枚貝相は,マルスダレガイ科,ニッコウガイ科,フネガイ科,ザルガイ科,ツキガイ科,イガイ科等の種が多様化していることで特徴づけられる.この傾向はインド洋-西太平洋各地の二枚貝相と概略一致するが,中央太平洋のハワイ諸島の二枚貝相とは大きく異なる.今回,種まで同定できた102種のうち93種は琉球列島まで分布し,60種はさらに紀伊半島まで分布している.本地域の固有種と思われるものは採集されていない.

著者関連情報
© 1984 日本動物分類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top