動物分類学会誌
Online ISSN : 2189-728X
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インド・西太平洋産サラサエビ属の1新種,ヒボタンサラサエビ(新称)
奥野 淳兒
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1994 年 52 巻 p. 65-74

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抄録

サラサエビ属の新種,ヒボタンサラサエビ(新称)Rhynchocinetes concolorを奄美諸島,琉球諸島,パプアニューギニアおよびオーストラリア北部で得られた12個体に基づいて記載した.本新種は同属近似種からは生時の色彩が一様に橙黄色で,腹節に2本の淡白色の斜横帯を有すること,ならびに額角下縁の基部に備わる4歯が強大で著しく前方を向き,中央から末端にかけて等間隔に並ぶ小さな5-7歯から著しく隔離されていることによって容易に識別される.また,本種は第1触角柄部の触角棘,第2触角の触角鱗,第3-5歩脚の腕節外面上の棘数,ならびに同脚指節の内縁に備わる爪数にみられる標徴形質の組合せによっても近似種から区別できる.本種はインド・西太平洋の熱帯および亜熱帯域の浅い岩礁に生息し,日中は岩の亀裂内などに隠れているが,夜間岩の表面などに出て積極的に摂餌する.

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© 1994 日本動物分類学会
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