抄録
わが国のイチゴの主要3品種である‘女峰’,‘とよのか’および‘宝交早生’に Agrobacterium tumefaciens を用いてNPT II遺伝子およびGUS遺伝子を導入した. その結果, 形質転換カルスおよび不定芽の作出においては,‘女峰’が最も効率がよく,‘とよのか’と‘宝交早生’についても低率ながら形質転換不定芽を得た.‘とよのか’の葉柄からの形質転換カルスの作出において, アセトシリンゴンを含むA. tumefaciens 懸濁液に浸漬した後, カルス形成培地で6日間共存培養すると形質転換率が向上した. 形質転換個体のGUS活性をX-Glucにより酵素組織化学的に検出したところ, GUSの発現量は, 葉では中肋部, 葉柄では維管束部, 根では生長点部で非常に高かった.