抄録
海産褐藻アミジグサ科ヘラヤハズからのプロトプラストによる揮発性成分は, 細胞を生きたままで培養しながら抽出する閉環式ヘッド・スペース (CLHS) 法, GCおよびGC-MSによって分析し, 母藻体のそれと比較した. それらの両者は, 共にほぼ共通の揮発性成分をもち, なかでも主要な特徴的成分のディクティオプテレン類は, CLHS法によりPESI培地中に放出されていることが確認された. このことは, この化合物群が藻体そのものに起源をもち, その表面に付着する微小生物由来ではないことを示した. 一方, ジプロピルジスルフィドは, プロトプラストのみに, キュベノールは, 母藻体のみにみいだされた. すなわち, プロトプラスト化は, 海藻の揮発性成分を研究する上で有用な手法であることが示唆された.