植物組織培養
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苔類フタバネゼニゴケ培養細胞の成長特性と形態形成
小野 莞爾中山 正晴高宮 正之
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1994 年 11 巻 1 号 p. 6-13

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抄録
苔類フタバネゼニゴケ (Marchantia paleacea var. diptera) の培養細胞 (MpK) は, MS+2%グルコースの培地, 明所の培養条件で盛んに成長した. しかし, 暗所ではほとんど成長できず, いわゆる光混合栄養成長を示した. 葉状体を再分化させるために, 培養細胞をMS+0.5%グルコースの培地に植え替えたところ, 培養初期に培地のpHが極端に下がり細胞は分化せずやがて枯死した. そこで, pHの低下を抑えるため, 培地に0.1%CaCO3か10mMリンゴ酸を加えて培養したところ, 葉状体が再分化した. MpK細胞は, 脱分化した状態では培地中の硝酸塩とアンモニウム塩の両方を利用したが, 再分化に向かう状態では, 培養初期からアンモニウム塩を優先的に利用し, 硝酸塩をほとんど消費しなかった. このように, MpK細胞では脱分化の状態と再分化に向かう状態で, 窒素源の利用の仕方に違いが見られた.
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© 日本植物細胞分子生物学会
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