植物組織培養
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キク科植物培養細胞による新規紅色色素キノベオンAの生産
若山 祥夫金平 努久坂 一仁小林 昭雄
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1995 年 12 巻 3 号 p. 297-302

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抄録

キク科に属するベニバナ培養細胞から生産された, 新規紅色色素キノベオンAが, 他のキク科植物の培養細胞系でも生産されるか否かについて検討した. タンポポ, アザミ, ノゲシ, ゴボウ, ヤグルマギク, エゾギク, キンセンカ, ヒマワリ, シュンギク由来の外植片から, カルスを誘導し, 懸濁培養系を確立してベニバナ培養細胞と同様の条件下で色素生産を行わせたところ, これらすべての培養細胞が, 紅色色素を生産することを明らかにした. これらの色素を薄層クロマトグラフィーで分析したところ, いずれのスポットも, Rf値が同じでありキノベオンAと同一色素であることが推察された.
次に, タンポポの培養細胞を大量に培養し, 生産された大量の紅色色素を抽出精製し, 各種機器分析を行った. その結果, 紫外-可視吸収スペクトル, LC-MSによる分子量が, キノベオンAと一致することがわかった. また, 1H-NMRスペクトルの帰属もキノベオンAの帰属と一致した. 従って, 調べたすべてのキク科植物の培養細胞がキノベオンAを生産すると考えられた.

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© 日本植物細胞分子生物学会
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