植物組織培養
Online ISSN : 1884-7706
Print ISSN : 0289-5773
ISSN-L : 0289-5773
植物ホルモンとしてNAAのみを含む培地を用いたサツマイモの葉片および茎断片からの植物体再生
Nestor PIDO神山 康夫掛田 克行塩谷 格
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 12 巻 3 号 p. 289-296

詳細
抄録

サツマイモの形質転換系を確立することを目的として, 高系14号の再分化系統 (KT) および栽培品種 Jewel の葉片や茎断片からの植物体再生に最も適する培地について検討した. 調査した11種類の培地のうち, 2種類の培地 (R6, R7) では植物体再生率が最も高く, 有効な培地であることが判明した. これら2種類の培地は植物ホルモンとして0.1-0.2mg/lのNAAのみが添加されており, IAAやカイネチンを含む他の培地では再生率が低いか植物体再生が全く認められなかった. またNAAの最適濃度について検討した結果, 葉片では0.1-0.3mg/l, 茎断片では0.2-0.6mg/lであった. さらにゼアチンやBAPを添加した場合には, 0.01mg/lの低濃度でも植物体再生率を低下させることが明らかとなった. 本研究で得られた大部分の苗条 (shoot) は, 外植体の切断部分から分化しており, アグロバクテリウムによる形質転換体作成に適した植物体再生系であると考えられる.

著者関連情報
© 日本植物細胞分子生物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top