1989 年 6 巻 3 号 p. 138-143
植物ホルモンを使用しないでニンジンの種子から不定胚形成を行わせることに成功した. ニンジン種子を3種類の次亜塩素酸溶液に浸漬した後, 植物ホルモンを含まない Murashige & Skoog 固形培地 (ショ糖0.1M, 寒天0.8%) 上で培養を行ったところ, 不定胚形成が認められた. 次亜塩素酸処理時間や処理濃度が高まるにつれて種子の発芽率は減少する傾向を示したが, 逆に不定胚形成頻度は上昇する傾向を示した. これらの結果は, ストレスがニンジン不定胚形成能誘導に関与しているという可能性を示唆する新たな証拠であると考えられた。