PLANT MORPHOLOGY
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特集 細胞の機能を3Dイメージングで観る
Serial Block-Face SEM(SBF-SEM)による細胞小器官の3次元形態観察
宮崎 直幸村田 和義
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2015 年 27 巻 1 号 p. 9-13

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抄録

SBF-SEMは,細胞全体や組織のようなバルク試料の構造を数十nm以上の分解能で解析することができる最先端の3次元電子顕微鏡法である.その方法は,樹脂包埋した試料の表面をSEM内部に組み込まれたウルトラミクロトームで薄切し,その新しく露出した表面をSEMでイメージングする.この切削とイメージングを自動で繰り返すことにより,試料の連続断層像を取得する.そして,それらを位置合わせした連続断層像から試料の3次元構造を再構成する.本稿では,このSBF-SEMの原理と特徴,そして最近のいくつかの応用研究例を紹介する.その一例として,我々はCdc48p/p97が関与するミトコンドリアの形態制御機構をSBF-SEMを用いて解析した.このCdc48pは,生物に高度に保存された細胞質AAA型シャペロンであり,ミトコンドリアの形態制御を含むさまざまな細胞内プロセスに関与することが分かっている.そして,この解析から,SBF-SEMが細胞全体を通した細胞小器官や細胞内構造の定量的な形態解析に有用であることが示された.

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© 2015 日本植物形態学会
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