2017 年 29 巻 1 号 p. 33-37
寄生植物ストライガは作物の根に寄生し収量を大幅に減少させることから,アフリカを中心に大きな農業被害を及ぼしている.その被害は年間約1兆円にものぼり,人口増加の一途をたどるアフリカの食糧確保に向け早急に解決すべき問題となっている.ストライガは,寄生先となる植物が土壌中に放出するストリゴラクトンを認識して発芽する.この仕組みを明らかにすることはストライガ問題解決の糸口となるが,その鍵となるストリゴラクトン受容体は長い間未解明であった.本総説では,ストリゴラクトンについてのこれまでの知見を概説したのち,ストライガのストリゴラクトン受容体タンパク質同定及び発芽のメカニズム解明に関する最新の研究について紹介し,ストライガの発芽制御に向けた展望について述べる.