PLANT MORPHOLOGY
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マツモ(Ceratophyllunm demersum)の花発生:物理的圧力が花の数性に及ぼす影響
岩元 明敏
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2017 年 29 巻 1 号 p. 75-80

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抄録

マツモ(Ceratophyllum demersum)は沈水性の水生植物であり,花被片に取り囲まれた多数の雄蕊からなる特異な形態の雄花を持つ.この雄花における花器官の配列(数性)は多様であり,1つの個体内にもらせん状,3数性,4数性そして不定形という様々な数性が混在する.この雄花の花の発生過程を詳細に観察した結果,発生初期では雄蕊は背軸側から向軸側への単一方向発生を示すが,発生後期の花の内部の雄蕊は必ずらせん状に発生することが分かった.この初期の単一方向発生は,上の節の葉との接触による物理的圧力によって発生が変化したものであり,マツモの雄花の本来の発生パターンはらせん状であると考えられる.このことは,花発生の点からはマツモは基部被子植物群と共通性があるということを示している.また,マツモの雄花で様々な数性が生じることは,物理的接触による発生パターンの変化に起因するものであり,被子植物における数性の多様性も花芽に対する物理的な圧力の違いが原因の1つとなって引き起こされている可能性がある.このモデルを実験的に検証するため,シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の若い花芽に人工的に物理的圧力を与え,それによる花発生の変化を解析する新たな実験系を開発した.現在この実験系を用いて,物理的圧力が花の数性に及ぼす影響を明らかにすることに取り組んでいる.

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© 2017 日本植物形態学会
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