PLANT MORPHOLOGY
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被子植物の雄性配偶子特異的ヒストンの検出
田中 一朗
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1998 年 10 巻 1 号 p. 60-67

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抄録

要旨:我々は、テッポウユリの花粉から雄性配偶子核(雄原核)を効率的に単離する方法を開発することによって、雄原核クロマチンのヒストン組成を一般の体細胞核と詳細に比較することを可能にした。その結果、雄原核は通常の5種類の体細胞型ヒストンの他に3種類の特異的なヒストン変種(p22. 5, p21, p18. 5)を含むことが示された。そこで、これらのヒストン変種に対する特異抗体を用いることによって、それらの雄性配偶子核(雄原核・精核)特異性が間接蛍光抗体法によって実証されたとともに、それらのcDNAが単離され、それぞれの相同性からgH2B, gH3, gH2Aと命名された。これらは、高等植物で最初の雄性配偶子特異的ヒストンであり、雄性配偶子核特有のクロマチンの凝縮に関与していると推察されている。

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© 日本植物形態学会
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