PLANT MORPHOLOGY
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イネ葉の老化プログラムに関する三次元的解析
稲田 のりこ
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2000 年 12 巻 1 号 p. 60-67

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抄録

要旨:老化は、発生の最終段階として、植物体の中の遺伝的プログラムの下に厳密な制御を受けて進行する過程である。我々は老化機構の解明を最終目的とし、先ず老化の開始から進行の過程を組織・細胞レベルで明らかにして来た。生活環が短く、構造が単純なイネの子葉鞘を主に材料として用い、その一連の解析の結果、自然老化と通気組織形成という二つの異なるタイプの細胞死の進行過程が詳細に明らかになった。組織レベルでは両者の進行パターンは大きく異なるが、細胞レベルでは、オルガネラDNAの分解や液胞崩壊などの極初期・また最終段階の主要な過程が、両者で同様に観察された。これらの結果は、全ての細胞で同一の死のプログラムが働いており、その進行が周囲の環境から大きく影響を受けていることを示唆している。

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© 日本植物形態学会
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