PLANT MORPHOLOGY
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γチューブリンとその関連タンパクの種多様性
紅 朋浩
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2001 年 13 巻 1 号 p. 21-30

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抄録

要旨: γ チューブリンは、微小管形成中心(microtubule organizing center; MTOC)のタンパクとして、微小管ネットワークの構築に関わる重要なチューブリンである。γチューブリンは他の様々なタンパクと共に複合体として存在しており、動物細胞ではγ チュー要旨: 中国からわが国へのイチョウ伝来の論議では、その時期については、これまで飛鳥時代(7世紀)から室町時代(16世紀)までの900年にもわたる時間スケールにまたがり、かつその具体的根拠や出典が示されない場合が多かった。一方、もたらされたものが、木、種子いずれであったかも曖昧のままにされてきた。本稿では、中国および日本に残る文献資料を中心に、最近韓国で発見された遺物資料、ならびに筆者の観察を加えて、この二つの問題点について考察した。イチョウが中国の町に登場したのは10-11世紀であり、11世紀には市街地でも植栽され始め、12世紀には薬用効果が確かめられた。現在知られる、イチョウに関連するわが国の最も古い文字資料は、1370年頃成立の『異制庭訓往来』である。しかし、最近1323年頃(元代前期)中国から博多へ向かう途中、韓国沿岸で沈没した船から引き上げられた遺物の中からギンナンが発見された。これは、ギンナンが輸入果実としてわが国に持ち込まれた可能性を強く示唆している。輸入が始まった時期を示す資料は発見されていないが、宋代末期の日宋交易にまで遡る可能性はある。輸入されたギンナンは室町時代中期(1500年代)までには国内に広まり、その中から木に育つものが出てきたと考えられる。したがって、伝来の時期は13世紀から14世紀にかけての100-150年くらいの間であろうと推定される。今後、さらなる資料の発掘によって、より限定した時期の特定が可能になると期待できる。リン・リング複合体の解析が進んでいる。私達が糸状菌Aspergillus nidulansのγ チューブリン複合体について解析したところ、複合体にはリング複合体だけではなく、様々な形のものが存在することが示唆された。現在のところ、おそらく真核細胞全般においても様々なγ チューブリン複合体が存在するのではないかと考えられる。一方、γチューブリン自身にも多様性が見られる。その典型的な例が出芽酵母Saccharomyces cerevfslaeのγチューブリンである。近縁の数種の酵母についてそのγチューブリン遺伝子を調べたところ、γチューブリンの特徴を維持しながらも多様な変貌を遂げた姿が明らかになった。酵母固有の配列も見られ、それらはチューブリン分子のマイナス端側表面に集中していた。酵母固有の配列はγチューブリンが核内に局在することにも関わりがあるように思われた。本総説では、γ チューブリンやその関連タンパクの多様な側面を示すとともに、そのような多様性の裏にあると考えられる、γ チューブリンの成熟過程や細胞内局在を制御する仕組みについて考察する。

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© 日本植物形態学会
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