抄録
要旨:最近の分子系統解析の結果は、従来の形態に基づいた分類システムを急速に、且つ劇的に改変しつつある。その結果、被子植物の最も原始的な植物がAmborellaやスイレン目やシキミ目であること、単子葉植物は、それらの後に分岐した真正モクレン群の中から派生した単系統植物群であることなどが明らかにされてきた。このことから、それぞれの植物群における、原始的植物を起点とした形態進化の研究が可能になった。一方、「ユリ科」、「トウダイグサ科」、「イイギリ科」などのように多くの科が分解し、分解して離れた属が新たな科に変わったり、既にある科に加わったりしている。改変された個々の科を理解するための形態研究が必要とされている。