PLANT MORPHOLOGY
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性のない不完全酵母に秘められた有性生殖能
鈴木 孝仁
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2003 年 15 巻 1 号 p. 50-59

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抄録

要旨:有性生殖をしない不完全酵母菌類に分類される Candida albicans は通常二倍体の核相を有している。しかしながら臨床分離株の中には、二倍体の細胞だけでなく大型の四倍体の細胞を混在させている株が存在することを、蛍光顕微分光法による核DNA定量、連続超薄切片をもちいた電子顕微鏡による紡錘体極の観察を通して明らかにした。核相を増加させた後、減少させる能力を示すこの現象を核相変換と名付け、この現象をもった株の表現型をSps-と表すこととした。Sps-株では、核相の増加した細胞において、染色体の再編成や異型接合性喪失の頻度が増加し、組換え能力が高いことが明らかとなった。この酵母におけるゲノムプロジェクトが進展した結果、接合型遺伝子が異型接合の状態で存在することが報告された。Sps-株においても、この接合型遺伝子は異型接合で存在しているが、一方の接合型対立遺伝子を欠いたヘミ接合体では、核相現象を示さなくなることが分かった。これらの事実から、核相変換は異型接合型遺伝子の制御下に置かれており、潜在的な有性生殖能として機能していることが示唆された。

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