抄録
要旨:植物でも古くから減数分裂の変異体が単離され解析が行われてきたが、遺伝子レベルで研究が進められるようになったのは、T-DNAやトランスポゾンを利用したタギング法が開発されてからのことである。この方法によってシロイヌナズナとイネから多くの減数分裂変異体が単離され、その原因遺伝子が同定・解析されるようになった。またFISH(fluorescent in situ hybridization)法や免疫組織化学的方法も植物の減数分裂研究に導入されて、植物でも減数分裂時の染色体の挙動やタンパク質の局在性を詳しく調べることができるようになった。この分子遺伝学的手法と細胞生物学的手法の邂逅が、酵母等の様々な生物での減数分裂関連遺伝子の研究成果の蓄積とあいまって、1998年以降の植物の減数分裂の研究の大きな発展に繋がった。本稿では減数分裂の挿入変異体とその解析手法に焦点を絞りながら、最近の植物減数分裂研究の成果についてまとめる。