PLANT MORPHOLOGY
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真正粘菌における新規ミトコンドリアヒストン様タンパク質Glomの解析
佐々木 成江
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2004 年 16 巻 1 号 p. 61-70

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抄録

要旨:生体内においてミトコンドリアDNAはタンパク質によって高度に折りたたまれたミトコンドリア核様体(ミトコンドリア核)で存在する。我々は、非常に凝縮した大型ミトコンドリア核様体を持つ生物の一つである真正粘菌Physarum polycephalumから、新規ミトコンドリアヒストン様タンパク質Glomを同定した。Glomは、N末端半分にポリプロリンを含むリジンに富む領域を持ち、C末端半分にHMG boxを持つ塩基性タンパク質であった。Glomは、ミトコンドリアDNA全体に結合し、DNAの凝縮を促進するが、その凝縮にはリジンリッチ領域が重要であった。また、Glomによる激しいDNAの凝縮は複製や転写などの機能発現を全く阻害せず、その機能発現にはポリプロリンが重要であった。さらに、Glomは大腸菌のヒストン様タンパク質であるHUの機能を相補し、その機能相補にはHMGボックス領域が重要であった。

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© 日本植物形態学会
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