PLANT MORPHOLOGY
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カワゴケソウ科の形態進化
加藤 雅啓
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2005 年 17 巻 1 号 p. 15-22

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抄録

要旨:カワゴケソウ科は水位が季節的に変動する河川の早瀬や滝の岩上に生える水生被子植物である。植物は硬い岩と急流の境界環境に適応するために、幼芽と幼根からつくられる陸生被子植物に一般的な鉛直軸を消失し、独特の水平軸をつくりあげた。前者はカワゴケソウ亜科の出現した段階で、後者はカワゴケソウ科の出現時に起こった。鉛直軸は幼芽と幼根が痕跡的になるか発生しないために消失する一方、水平軸は胚軸から2次根を、あるいは子葉の腋から2次シュートを発生することにより形成した。葉状の根は、根端分裂組織が退化・消失し、代わって周縁分裂組織が発達することにより進化した。このような形態進化は、一般的な渓流沿い植物の細葉化とは異なる戦略によってもたらされた

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© 日本植物形態学会
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