PLANT MORPHOLOGY
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原始紅藻におけるオルガネラ分裂の細胞周期による制御の解析
西田 敬二長田 敏行黒岩 常祥
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2005 年 17 巻 1 号 p. 51-55

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抄録

要旨:ミトコンドリアと葉緑体の数や形態は分裂によって調節されるが、細胞がどのようにその制御を行なっているかはほとんど不明であった。本研究ではミトコンドリアと葉緑体の分裂のなかの各段階が細胞周期による厳密な制御を受けていることをCyanidioschyzon merolae(シゾン)において明らかとした。ミトコンドリアと紡錘体極との直接的な結合はミトコンドリア分配を染色体分配と物理的に協調させるが、その分配はオルガネラ分裂を待たずには行なわれない。ミトコンドリア分裂の最終段階はS期には抑制されM期に誘導されていたがそこにはDynaminのM期特異的な集合という時空間的制御が存在していた。微小管はオルガネラ分裂には要求されなかったが、Dynaminと微小管との空間的相互作用は紡錘体伸長のチェックポイントとして働いている可能性が考えられた。葉緑体分裂はS期に誘導されてM期には抑制されていたがそれはFtsZおよびDynaminの合成と分解によると考えられる。これらのことから導かれる細胞周期とオルガネラ分裂との分子ネットワークモデルについて考察する。

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© 日本植物形態学会
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