PLANT MORPHOLOGY
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カプサイシン含有率と隔壁表面積計測によるトウガラシ果実におけるカプサイシン生合成能の評価
杉山 立志志手 真人藤野 廣春辰尾 良秋中村 佐紀子覚正 信徳伊藤 昌夫横田 秀夫加瀬 究黒崎 文也
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2006 年 18 巻 1 号 p. 75-82

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抄録

要旨:トウガラシの辛さは,辛味成分のカプサイシンとジヒドロカプサイシンの含有量に比例する.世界一辛いトウガラシといわれるハバネロは日本のタカノツメの10倍以上の辛さを持つ.これらの辛さの違いの主な要因はどこにあるのか,二つの仮説を立てて検証した.一つは生合成関連酵素の量や活性が異なり,いわゆる生合成能が高いことである.もう一つは「生合成の場」が相対的に広いということである.そこで,生合成細胞を特定して,生合成組織あたりのカプサイシン含有量を生合成能とし評価した.生合成関連遺伝子によるin situハイブリダイゼーションにより果実内部の隔壁表皮細胞が生合成を行う細胞であることがわかった.そこで,隔壁表面積を3次元立体構築から算定し,液体高速クロマトグラフィーによるカプサイシン量の測定結果とあわせて,生合成組織あたりのカプサイシン含有量を試算した.辛さの異なる3つのトウガラシにおいて,組織あたりのカプサイシン含有量に大きな差はなく,果実に占める生合成組織の割合の違いが辛さの差を生み出していることが示唆された.

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© 日本植物形態学会
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