2024 年 4 巻 1 号 p. 70-75
企業活動の結果は社会にインパクトを与える.企業活動の社会的インパクトには,ポジティブかネガティブ,あるいは意図するものかしないものがある.そのうち,ネガティブな社会的インパクトの影響が深刻化しており,2015年9月に国連が持続可能な開発目標(SDGs)を決定し,多くの企業がSDGs事業を始めようとしている.しかしSDGs事業の立ち上げを支援するSDGsガイド類のほとんどが,多国籍大企業向けである.PMI日本支部SDGsスタートアップ研究会では,SDGsビジネスの方法論を開発している.開発の目的の一つは,プログラムやプロジェクトなど小規模組織のSDGs事業向けのSocial Impact Assessment(SIA)ガイドを作成することである.本稿は,SIAの実施に必要となる社会的インパクトカテゴリーの作成を目的とする.現行日本国憲法の基本的人権と既存の3つのカテゴリー(GRI,Impact Radar,SIMI)をマッピングする方法により,社会的インパクトのカテゴリーを新たに作成した.またSIAにおける社会的インパクト特定のためのアンケートシートを作成し,カテゴリー分けの有効性を検証した.