プロジェクトマネジメント研究報告
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巻頭言
研究報告
  • -プロジェクトマネジメントに必要な統計手法拡張の研究ノート;Part 3-
    泉澤 聖一
    2025 年5 巻1 号 p. 2-9
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    これまでに投稿した本稿シリーズのPart 1およびPart 2では,プロジェクトマネジメントの統計分析を阻害する要因を回避できる統計手法の理論およびそれらの適用実践例を解説した.とはいえ,その実践例の一部である統計確率論による確率分析処理と帰無仮説検定については,さらなる詳細の解説が必要である.本稿Part 3では,プロジェクトマネジメントに適用する統計確率手法のさらなる詳細理論と具体的な適用例を紹介することで,プロジェクトマネジメントの初期計画およびパフォーマンス改善の戦略決定に必要な知見と洞察の情報を提供する.

  • -プロジェクトマネジメントに必要な統計手法拡張の研究ノート;Part 4-
    泉澤 聖一
    2025 年5 巻1 号 p. 10-17
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    プロジェクトマネジメントの統計手法の適用と分析が困難であった過去の歴史的背景と環境の中で,米国国防総省は,記述統計学を適用して,プロジェクトのパフォーマンスを分析し,予測する研究を行い,その手法を公開した.本稿のPart 4では,国防総省が記述統計学をプロジェクトマネジメントに適用した背景,およびその具体的な適用手法と分析結果の評価法を紹介する.それにより,記述統計学の適用が可能な環境にある組織におけるプロジェクト・パフォーマンス改善の戦略決定に必要な知見と洞察の情報を提供する.

  • -地方自治体におけるプロジェクトマネジメントとビジネスアナリシスの適用-
    浦田 有佳里
    2025 年5 巻1 号 p. 18-23
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    平成12年の地方分権改革により,地方自治体が自ら事業を考え進めていくことが必要になってきた.DX,スマートシティ,脱炭素やSDGsへの取り組みなど,前例のない事業が多く,複雑な事業が増えてきている.自治体での人材育成が急務な中,今までの自治体の研修では行われてこなかったプロジェクトマネジメントやビジネスアナリシスのスキルが必要になってきていると考える.本報告では,筆者が実施した自治体での人材育成の取り組みについて,当該自治体でのプロジェクトマネジメントやビジネスアナリシスの研修の状況,今後の課題について報告する.

  • 三好 きよみ
    2025 年5 巻1 号 p. 24-32
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    人材育成Study Group(SG)は,PMI日本支部の法人スポンサーに所属するメンバーで構成されており,毎月の定例会では,様々な業種や職種,幅広い年代のメンバーが,実際の現場での思いや悩みを共有し意見交換を行っている.従来は対面で活動を行っていたが,コロナ禍以降は,遠隔環境でのオンラインによる活動が主となり,メンバー間の意思疎通やチームワーク促進が課題となった.そこで,メンバーの相互理解とチームワーク促進を目指して,レゴ🄬シリアスプレイ🄬(LSP)を活用したワークショップを実施した.ワークショップ後のアンケート調査からは,参加メンバーのワークショップへの高い満足,自己理解,相互理解の促進が確認された.本論文では,2023年,2024年に実施した,人材育成SGの合宿におけるLSPを活用したワークショップの実践結果を報告する.

  • 貝増 匡俊
    2025 年5 巻1 号 p. 33-39
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿では,神戸女子大学家政学部家政学科で実施した3年次対象のフィールドワークの実践報告と関連する教育効果について検証し,考察する.本フィールドワークでは,4グループがそれぞれ設定したテーマに沿って,事前に調べた上で,大学キャンパスから出て,学外での研究活動を行った.テーマに沿って問いかけを考えて,次に事前学習を通して仮説を立てる.仮説が正しいことを立証するためにフィールドワークを実施するといった一連の活動を通して,大学の専門性やジェネリックスキルを伸ばすことを念頭にした授業デザインを行った.教育効果測定として学習アプローチや社会人基礎力を使って効果測定と検証を行った.結果として深い学びが促進され,社会人基礎力の数値が上昇した.また継続意欲が強い,すなわち,学習態度がリテラシーやコンピテンシーにも正の影響を及ぼすことが示唆された.

  • -まずは興味を持ってもらうことから-
    下池 季樹
    2025 年5 巻1 号 p. 40-46
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    日本の建設産業では,ポートフォリオ/プログラム/プロジェクトの各マネジメントはあまり定着・浸透していない.しかし表現は異なるが適切なマネジメントは実施されている.何故なら,多くの建設企業が維持され業績を伸ばしているからである.だが今後建設産業がグローバルで生き延びていくためには各建設企業独自のマネジメントも勿論重要であるが,その基礎となる共通の体系化されたポートフォリオ/プログラム/プロジェクトマネジメントの習得が必須である.まずは興味を持ってもらうことからはじめたい.

  • -研修の質の向上と活動範囲の拡大,そして,組織拡大へ-
    鳥本 明男, 石塚 幸夫, 藤井 新吾
    2025 年5 巻1 号 p. 47-54
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    2022年,日本のプロジェクトマネジメント(以下,PMと記す)のコミュニティ発展を目指し,PMIアジアパシフィックの承認を得て,PMI日本支部と日本NPOセンターの共同事業実施協定によるNPO向けプロジェクトマネジメント研修プログラムを立ち上げ,NPOを対象にしたPM基礎研修を実施した.日本NPOセンターから活動の継続の依頼をいただき2023年,2024年も継続してNPOを対象にしたPM基礎研修を実施した.2024年は新たに,岡山大学から依頼をいただき,総合技術部の職員を対象にしたPM基礎研修を実施した.研修では2022年に開発した教材を用い,講義と受講者のプロジェクトを題材にした実践的な演習を実施することにより,価値を提供できることを確認した.研修を実施して得られた知見,効果について報告する.

  • -ワイズリーダーシップのすすめ-
    成田 和弘
    2025 年5 巻1 号 p. 55-62
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    2024年度アジャイルプロジェクトマネジメント実態調査では,組織のアジャイルへの取り組み状況は昨年と変わらず,その進展は足踏み状態との結果となった.アジャイル経験者の「アジャイル」に対するネット・プロモーター・スコア(NPS)も-4と5年連続のマイナスであった.一方,ハイブリッドを中心にアジャイルの定着は進み,アジャイルマニフェストへも全体の6割が「よく知っており,共感している」との回答で,その認識は浸透している.昨年に引き続きPMBOK🄬ガイドの原則について「非常によく実践できていたと思う」との回答者のNPSはすべて高い結果となり,アジャイルプロセス等を効果的に導入できているグループの属性と考えられる.PMBOK🄬ガイドの原理・原則に通じる知識創造の経営理論である「ワイズリーダーシップ」の実践を提言する.

  • -バックキャスト思考法との関連に着目して-
    堀尾 洋人
    2025 年5 巻1 号 p. 63-67
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    変化の時代に適応するPMのコンピテンシーとして「起承転結」型PM個人モデルをPMI日本支部発行のプロジェクトマネジメント研究報告Vol.4 [1]で示した.PM個人の「転」に関する能力(分析する力・貫徹する力)および「結」に関する能力(観察する力)は,PMが日々の業務で使用しており,なじみ深い.一方,「起」に関する能力(発想する力)および「承」に関する能力(概念化する力・巻き込む力)については,イメージはできるもののまだ現実感がない.本研究では,PM個人の「起・承」に関する能力が,バックキャスト思考法(制約・問題を肯定して受け止め,その制約のなかで解を見つける思考法)に関連していることについて述べる.

  • 大西 徹
    2025 年5 巻1 号 p. 68-75
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    PMBOK🄬ガイド第7版のチーム・パフォーマンス領域は,要点が箇条書きで示されており,そのままでは実践への適用に困難が伴う.本論では,プロジェクトマネジメントチーム,コミュニティ・コーチ,スクラムマスターを対象に,この領域をタックマン・モデルに沿って再構成する.これにより,チームの成長ドライバーを整理し,チーム・パフォーマンスを向上させるための具体的な手法を提示する.

    さらに,自律社会時代における価値観の多様化や不確実性の高まりといった特徴を踏まえ,価値観を基盤としたチーム成長を促進するための新たな手法を提案する.これらのアプローチは,チームだけでなくコミュニティの成長にも応用可能であり,持続可能な社会の実現に向けた実践的な道筋を示すことを目指す.

  • ― 神社神道の資格取得というリスキリングにより,EQ(感情的知性)の向上とマインドセットのシフト,セルフリーダーシップの発揮を検証する ―
    勝連 城二
    2025 年5 巻1 号 p. 76-85
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    DX時代において,新たなビジネスモデルの創出のために組織も,個人も変わることが必要と言われる中で,変わるべきは“まず自分から”ということが突きつけられている.つまり,“プロジェクトマネジャー(PM)としても自己変革が必要であり,自分自身の“転職”という手段を通してDX時代に生き残るために必要なPMのパワースキル(EQ)向上を獲得した事例分析の取り組みを以前報告している[1]. 本報告では,自己変革をすすめるための新たな手段の提案として,「リスキリング」という“現職とは異なる職種”へ自分自身が挑戦し,パワースキル(EQ)向上の有効性と成果の検証を行った実践事例を報告する.リスキリングの成否のカギは,“タレント・トライアングル”の3つのスキル領域である,1.Business Acumen,2.Ways of Working,3.Power Skillsの実践である.その事例のプロセス実行の知見等から,特にパワースキル(EQ)の向上が重要であり,その取り組みの中での気づき,教訓に加え,マインドセットのシフト,セルフリーダーシップの発揮の検証等について報告する.

  • -生成AIを活用したパターン・ランゲージの作成-
    高橋 正憲, 野尻 一紀
    2025 年5 巻1 号 p. 86-95
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    日本政府は喫緊の課題として少子高齢化対策に取り組んでいるが,その施策の重点は経済的支援に置かれており, それだけでは十分ではない.それゆえ市民活動の責務として, 少子高齢化に対する社会的支援の取り組みが必要である.本稿は, 少子高齢化に対する社会支援策として多世代交流ネットワークの構築を対象とし,実践活動プロジェクトの体験と3世代で行った対話から得られた多世代交流を促進する3つのカギ, すなわちマインドチェンジ,年齢バイアスの克服,及び心理的安全性の向上の実現について検討した.さらにその実現の手法として多世代交流パターン・ランゲージの適用が有効であると考え,生成AIを活用してパターン・ランゲージの作成を行った.

  • 脇谷 直子, 除村 健俊, 大小田 恵子
    2025 年5 巻1 号 p. 96-103
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/03/31
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    広島修道大学経済科学部経済情報学科の学生(3年生)12名を対象に,2024年度にPMI日本支部会員のボランティアによるビジネスモデル研修を導入・実施した.このビジネスモデル研修は,オンデマンドの事前学習と数時間のオンライン研修を組み合わせた研修であり,PMI日本支部の教育国際化委員会とソーシャル・プロジェクトマネジメント研究会の協力のもと開催された.ゼミナール活動の一環として取り入れたもので,正規科目と連動した課外活動に位置づけられる.アンケート調査結果を含めて事例報告し,産学連携教育の効果と課題について考察する.

  • -PMI日本支部事務局におけるAI活用事例-
    大木 孝
    2025 年5 巻1 号 p. 104-112
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/03/31
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    本報告は,PMI日本支部事務局において生成AIで事務局の業務の効率化を図る試行をした事例である.まず組織にAIを導入する取り組みとしてAIセミナーの実施,次にアンケートデータの集計・実務への活用についての考察を記述する.そして生成AIのポテンシャルを引き出すためのプロンプト8+1の公式という設計手法を用いて,プロンプト作成の手順と作成例を提示した.この生成AI導入事例を通じて,生成AIのポテンシャルと課題を明らかにした.

  • -AIレベル定義の紹介とプロジェクトコモンデータの検討-
    三五 大輔, 桒野 哲兵, 一柳 晶子, 今井 景子
    2025 年5 巻1 号 p. 113-122
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    プロジェクトマネジメントにAI技術を適用するには,プロジェクトマネジメントの各種アクションへの適切なAI技術の適用や効率的な活用と,そのための方法論が必要と考えられるが,包括的な方法論の普及や多様な環境条件でのAI技術の適用知見の整理も進んでいるとは言い難いのが現状である.そこで,日本フォーラム2024での発表内容,およびその発表へのコメントをベースに,現状の問題と解決に向けた方向性について報告する.

  • 稲葉 涼太
    2025 年5 巻1 号 p. 123-132
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    人的資本経営はESGのS(Social)の重要な要素です.

    しかし,人的資本経営と言う言葉が注目を浴びていますがその言葉の定義,目的,解決する課題,行うべき活動などは世の中で定まっていないと感じられます.

    「人的資本」の所有者は従業員です.企業は人的資本に投資を行い,企業価値を向上させ,その受益者は企業と従業員と社会であり,本報告では人的資本の目的と課題の整理を行い解決策の方向性を提示します.

  • ―認知科学から知る学びの構造―
    塙 隆善
    2025 年5 巻1 号 p. 133-142
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/03/31
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    プロジェクトの経験が次のプロジェクトで活かせていない.研修やセミナーで勉強しても実践で活かせていない.あるいは育成する立場にいる方で,その様なメンバーの指導の難しさを感じることがある.そうした方は少なからずいると思われる.本稿はその処方箋の一つとして,経験から効果的に学び続けるためのアプローチとして3つの愉しみを提案する.3つの愉しみとは,「ズレを愉しむ」「マネを愉しむ」「アイデンティティの変化を愉しむ」である.その提案の根拠として,最新の認知科学の知見である「知識の創発性」及び「予測する脳」を引用する.「ズレを愉しむ」ことで,全ての経験が学ぶきっかけになり,「マネを愉しむ」ことで,あらゆる機会に模倣の種があることに気づく.学びが深まるとプロジェクトなど, 参加している実践共同体で自身の「アイデンティティの変化を愉しむ」ことに繫がる.「アイデンティティの変化を愉しむ」ことができれば,「ズレを愉しむ」ことや「マネを愉しむ」ことを益々愉しめるようになる.人が学ぶ認知の仕組みを理解すると,この3つの愉しみがより愉しめるようになる.この実践を重ねることで,人は経験からより多くのことを学び続けることができる.

編集後記
編集委員
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