公共政策
Online ISSN : 2758-2345
シンポジウムA「環境政策の総合化をめぐって」
環境問題を可視化させる環境社会学と環境政策
長谷川 公一
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1998 年 1998 巻 p. 1998-1-015-

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抄録

環境社会学の学問的アイデンティティは,環境問題の解決への貢献という価値関心と,社会学的方法にある。(1)社会現象を行為の集積ととらえる,(2)フィールド調査を重視する,(3)居住者や生活者の視点を重視し,地域社会(コミュニティ)への関心が強い,(4)問題の全体関連的な理解への志向が強いことが,社会学的方法の特質である。環境問題の社会学としての環境社会学は,被害論・運動論・政策論からなるが,公共政策学や環境経済学,環境法学などとの連携のもとで,政策論の彫琢をはかることが喫緊の課題である。

環境問題は産業公害・高速交通公害・生活公害・地球環境問題に大別できる。本稿では,生活公害の典型としてのスパイクタイヤ公害問題と,地球環境問題の典型としての地球温暖化問題をとりあげ,前者の可視性の高さと後者の不可視性とを対比する。環境問題においては一般に,(1)問題および被害の可視性,(2)対策の緊急性,(3)技術的対策の容易さが対策を促進する。問題の可視性が低く,緊急性の度合いが認識されにくく,技術的な対策も困難であるほど,取り組みは難しい。地球温暖化問題は,そのような性格をもつ環境問題の代表例である。日本政府の,温暖化対策を大義名分とする原発推進政策の政治的性格は問題の不可視性をさらに強める効果をもっている。逆に,太陽光発電の推進や節電運動は透明性や参加感が高く,可視性を高める効果もあわせもっている。

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© 1998 日本公共政策学会
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