1998 年 1998 巻 p. 1998-1-019-
地方分権改革のポイントの第一は「受け皿論」ではない。自治型の政策システムをいかに構築できるのかということである。そのためには,財務監査や行政監査に偏ったコントロールではなく,政策システムをうまくコントロールする仕組みを作り上げることが必要である。この仕組みの一つは政策システムに関わるアクターをコントロールするということであり選挙,リコール,住民運動などが考えられる。もう一つは政策システムを構成する政策自体の要素,たとえば政策目標,この目標を達成する手段としての施策や事業をコントロールする方法である。いわゆる政策評価,プログラム評価,プロジェクト評価がこれにあたる。これらのコントロール能力を自治体それぞれが身につけるとともに,住民自治が拡充されたとき,自治型の政策システムは機能するようになるであろう。