公共政策
Online ISSN : 2758-2345
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三重県の事務事業評価システム評価を通じた政策改善,あるいは評価システムによる「行政革命」
窪田 好男
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1998 年 1998 巻 p. 1998-1-030-

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抄録

わが国ではこれまで政策評価の制度化がほとんど行われてこなかったため,わが国の政策評価論はもっぱら政策評価先進国たる合衆国の理論の紹介に努めてきた。筆者の理解するところでは,政策評価論の関心は,信頼性の高い(技術的な質の高い)評価結果をもたらす評価手法や制度の探求と,評価結果に基づいて政策形成者に政策提言を行う際の留意事項の整理に向けられてきた。端的に言って,従来の政策評価論は政策評価を政策の内容を改善するためのツールと見なしてきたのである。

しかしながら,わが国における政策評価の先進的取り組みとして注目を集めている三重県の「事務事業評価システム」は従来の政策評価論が推奨する姿とは大きく異なるものであり,注目に値する。

本稿は,筆者が三重県の事務事業評価システム関係者を対象に1997年7月~10月にかけて行った数度の面接調査を基に,事務事業評価システムがいかなるねらいを有するものであり,従来の政策評価論に対していかなるインプリケーションを有するかを明らかにしようとするものである。

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© 1998 日本公共政策学会
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