2000 年 2000 巻 p. 2000-1-015-
1974年に施行された「大規模店舗法」は,2000年にその役目を終える。戦後の流通政策を特色づける法律ではあったが,法律の目的が整合性を持たなかったこと,法律を補完すべき行政の裁量的手段が稚拙だったことによって,法律によって規制を受ける側にも,法律により保護を受ける側にも,短期的にはともかく,長期的に見れば明らかにマイナス効果のほうがプラス効果よりもはるかに大きかった。このような法律が四半世紀にもわたって廃止もされず,維持されてきたことの意味を問うことは重要である。それは,経済のグローバル化,情報化に伴って,日本の流通も変わっていかざるを得ないし,それに合わせた形で流通政策も変わっていかざるを得ない。過去の流通政策の失敗を教訓として,将来に生かすためにも,ここで「大規模店舗法」の功罪を実証化し,評価することの意味は大きい。本稿は,その試みの一つと位置付ける。