抄録
我が国では全国を通じて教育を受ける機会が制度的に保障されている一方で、学校外の過ごし方については家庭環境に委ねられ、体験格差が生じていることが指摘されてきた。子どもの頃の様々な活動経験は子どもの将来的な能力形成に資する重要な要素とされているにもかかわらず、その実施実態は十分に把握されていない。そこで本研究では、家庭の経済状況や地域差によって、学校外の余暇的活動の実施状況に格差があることを明らかにし、すべての子どもに多様な体験を可能とする施設・アクセス整備の必要性を提示することを目的としている。全国的な分析を行った結果、世帯年収が低いほどスポーツや趣味・娯楽の活動頻度が低い子どもや全く実施しない子どもが多くなる傾向が見られ、余暇的活動の機会保障に向けた取り組みを一層強化する必要性を浮き彫りにした。また、活動の種類数に着目すると、趣味・娯楽においては都市規模と世帯年収の双方によって多様性に格差が生じていた。具体的な活動別の実施状況を見ると、スキーや登山といった装備・移動にかかる経費の大きいスポーツや、開催可能な場所が限定されるコンサートなどの趣味・娯楽で格差が大きいことが明らかになった。一方で、スマホやゲーム機などによるゲーム実施といったデジタルでの活動では所得・地域差が小さく、多くの子どもによって実施されていることが示された。